博多大吉

デビュー後すぐにテレビのレギュラーをもらい、訳も分からず毎日の仕事をこなすのに精一杯だった20代前半。自分なりに頑張っていたつもりでしたが、一部では「テレビに出ているだけで何の芸もない福岡吉本」と評されていたのも事実です。イベントでは手応えを感じていたものの、メディアで漫才をやれる環境もなく、どうしたらこの状況を打破できるのか悩んでいた頃、もっと言えば、地元芸人を続けるのか地元タレントを目指すのか、そろそろどちらかを選ばなければならなかった、そんな頃に僕らは初めてばってん荒川さんとお会いしました。そこで「まだまだばってん、あんたたちの漫才には可能性があると思うバイ。やけんなおのこと、腰据えて頑張らないかんバイ!」と言ってもらえたからこそ、今の僕らがあると思います。それ以降も機会があるごとに声をかけてくださり、それはもう本当に頼もしく、大きな心の支えとなりました。しかも、福岡の方ならご承知の通り、今相方が児玉清さんのモノマネで知名度を上げているのと同じく、福岡ではばってんさんのモノマネで僕らは知名度を上げさせてもらったのです。何の恩返しもできないまま、今日の訃報を聞くこととなりました。ありきたりな言葉しか出てきませんが、御冥福をお祈りします。勝手な思い込みかもしれませんし、仮にそうでもほんのごく一部でしょうが、ばってんさんから受け継いだ九州芸人魂を胸に、これからも精一杯やっていきます。しばらくは(相方を中心に)僕らが九州を引っ張りますので、そちらでゆっくりされてください。お疲れさまでした!